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Artist Statement

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アーティストステートメント

 無自覚に受け入れてきた「思い込み」や「制限」に気付き、生まれながらの「本来の自分」を思い出して、人生をワクワクしながら躊躇なく邁進する。私のアートはそんな思いの結晶です。

 ただ「今」が連なって、私はどんなストーリーを紡いでいったのか。どんな思い込みを作って、どんな限界を作ってしまったのか。

「まばたきスカル」はそれに気付くきっかけとなるアート作品であり、限界を超えていく象徴です。

​​

文脈から

アニメーションを使った多視点の探究

 

 私は、2022年より「アニメーションを使った多視点の探究」をテーマに、少ない画像を用いたパレイドリア(*1)アニメーションの研究と制作を行っています。

 映像学や心理学の研究によれば、映像は編集技術によって特定の印象や視点を強調することができるとされています。映写のタイミングや画像の組み合わせ次第で、もともと存在しなかった印象を生み出すことができるのです。この性質に対して、私たちは受動的に映像を受け取るだけでなく、自ら真偽や価値を判断する力を養うことが求められると考えます。そしてそのためには、多様な視点を体験し、想像力を育む必要があります。

 絵画史の中でも、ジュゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo,1526-1593)による、動物や植物などをたくさん集めてパーツとして組み合わせる「寄せ絵」や近代美術のキュビズムなど、多視点を与える表現は探求されてきました。これらはいずれも、1枚の絵の中に多層的な視点を内包する手法です。

 私のアプローチは、寄せ絵、キュビズム、シュルレアリスム、抽象表現主義、ポップアート、アニメーションの文脈を受け継ぎながら、映像(アニメーション)という"動きの中に"新たな多視点を作るものです。静止した各フレームには単視点の画像しか存在しないにも関わらず、動きの連続によってパレイドリア効果が誘発され、多様な視点が生まれます。この体験を通して、視覚情報がいかに意図的に形成されうるかを実感し、映像との新たな関わり方を学んでいくことができます。

 この探究の中で生まれた作品が、「まばたきスカル」です。

 

(*1)“パレイドリア(: Pareidolia)とは、心理現象の一種。視覚刺激や聴覚刺激を受けとり、普段からよく知ったパターンを本来そこに存在しないにもかかわらず心に思い浮かべる現象を指す。パレイドリア現象、パレイドリア効果ともいう。

「著作物」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2023年8月9日 (水) 23:41 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2”​

解説

「まばたきスカル」

 「まばたきスカル」とは、動きによって二つ以上の視点を生成するパレイドリアアニメーションです。

一つ目の視点は「まばたき」、二つ目の視点は「サスペンション(ショックアブソーバー)」であり、いずれも静止画面では現れず、アニメーションによって初めて認識されます。しかもこれらの視点は、それぞれ容易に切り替えることが可能であり、視覚的な破綻を起こしません。視点の切り替えを繰り返すうち、二つの視点が溶け合い、矛盾のない新たな「融合する視点」が生まれる──これが本作の特長です。

 さらに「まばたきスカル」では、「今」という瞬間そのものと、それが連続することで初めて生まれるストーリーとの関係を表現しています。

まばたきスカル3コマ目の画像
まばたきスカル4コマ目の画像
まばたきスカル5コマ目の画像
まばたきスカル6コマ目の画像
まばたきスカル7コマ目の画像
まばたきスカル8コマ目の画像
まばたきスカル9コマ目の画像

 7枚の静止画像の各フレームは単なる「今」「今」にすぎませんが、それらを連続させることで、「まばたき」や「ピストン運動」といった動きが生まれ、ひとつのストーリーとして認識されるようになります。

この現象は、一音一音が連続してメロディになるように、日常もまた「今」の積み重ねでできているということに通じています。

 同時に本作は、各個人の経験や知識、思い込みによって世界の見え方が異なることもテーマにしています。TikTok上で行った独自調査では、「同じ映像(まばたきスカル)を見て、みんな同じことを考えている」と思っていたものが、視聴者ごとに見えるものが大きく異なることが明らかになりました。それは、あたかも「盲人と象」の寓話のように、人々がそれぞれ異なる部分に触れ、全体像を異なるものとして語る現象を思い出させます。

 「まばたきスカル」を通して、私は観る者に問いかけます。

 ・あなたが見ているものは、あなたが作り出したストーリーではないでしょうか?

 

 ・あなたの信じるものは、思い込みに過ぎないのではないでしょうか?

この作品を体験することで、私たちが無自覚に受け入れている「思い込み」や「制限」に気づき、それを手放すきっかけとなることを願っています。そして、自分自身の本質、生まれながらの「本来の自分」を思い出し、ワクワクする人生を迷いなく進んでいけるように。

「まばたきスカル」は、そのための象徴であり、アート作品です。

 

まばたきスカル

©2023 arai atsuo

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